この春は実力のある公立教諭の移動が多く、石川高校野球に大きい変化がみられた。金沢商の川場監督は金沢西へ、金沢西の井村監督は母校金沢桜丘を率いることとなった。金沢桜丘の山田監督は金沢商へと移ったが、ここは指導に定評がある丸山コーチが監督に就任。小松工と野々市明倫も、中野監督が野々市明倫、米岡監督が小松工とそれぞれ交代した形となる。また、昨年小松商へ移動した竹田佐太雄さん(元寺井高監督)もこの夏は監督として返り咲くこととなった。
そして元プロ野球選手金森監督率いる【金沢学院東】も一躍脚光を浴びている。好投手工藤を中心とした強豪校に、元プロ野球選手の指導がチームに浸透出来るかがカギ。春は初戦で北陸学院に0-1と完封負けを喫したが、夏は巻き返しを図る。
【航空石川】はプロ注目の芳野をはじめどこからでも点が取れる強力打線。春は準決勝で小松大谷を9回までリードしていたが、サヨナラ逆転負け。この夏は虎視眈々と5年ぶりの甲子園出場を狙う。梶田・野村の両右腕の出来に注目。
昨年の夏以降、結果を残せていない【金沢】だが、長年石川高校野球をリードしてきた実力は健在。打線は好打者國谷、奥平、金村を中心に得点を重ね、投手陣では羽部、竹田でこの夏は常勝金沢の立て直しを謀る。ノーシード爆弾の筆頭。
その金沢で長い間指揮をとっていた名将浅井監督が【鵬学園】へ来て二年目の夏を迎える。春の大会や練習試合を見た限り打線は悪くない。吉井、池下が相手を5点以内で抑えることが出来れば上位を脅かす可能性も。ただ、投手陣は豊富だが3番手以降に不安を感じる。
春はともに公立の実力校と言われる小松を初戦で破り、勢いに乗った【金沢桜丘】は、続く金沢西、秋優勝の津幡も撃破し8強入り。春に四番を打っていた二年生田中が投げることがあれば上位を狙える。
素晴らしい球歴を持つ越智監督率いる【小松】も侮れない。ここ二年間の夏はともに遊学館に敗れはしたものの、いずれも1点差ゲームで遊学館をあと一歩まで追いやっている。今年の夏も越智采配には注目。
そしてこの夏、注目の【小松大谷】。なんといっても投打に抜群なセンスが光る山下が中心となるチーム。この山下についてきた他の選手も実力を上げてきており、昨秋、春と準優勝。この夏は星稜と肩を並べる優勝候補に躍り出る。トップバッターの宮口、四番西田に続く鈴木、毎日1000本の素振りを欠かさない下口、ここに山下が加わる打線は脅威。去年の好投手小澤の金沢学院東をひと回りもふた回りも強くしたイメージ。春の北信越大会でも新潟明訓に勝利するなど経験も積んできており、関係者の期待も膨らむ。
この小松大谷を昨年の秋、決勝で破った絶対的エース宮前を擁する【津幡】。春は宮前は怪我で投げることが出来ず金沢桜丘に惜敗。宮前の復活次第ではダークホース的存在。昨秋に比べ打力も向上しており、宮前が本調子で投げられればトーナメント序盤で対戦するチームにとっては最も嫌な相手になりそう。
そしてもうひとつの優勝候補、昨夏の覇者【星稜】。ひと冬超えた岩下は直球、変化球ともに精度があがり春の準決勝遊学館戦では17奪三振と圧巻の投球を披露。他にも谷川、福重と豊富な投手陣で夏二連覇を狙う。スタメンには二年生のタレント集団を中心に下級生に負けてられない三年生、一年春からショートを守る虎谷と下位まで隙のない打線で、この春は遊学館・小松大谷を倒して県大会を制した。一年から頭角を現してた梁瀬が春はスタメンから漏れるほどレギュラー争いは熾烈。弱いわけがない。
最後に、夏の覇者奪還を狙う【遊学館】。この夏は二年生中心になると予想される。平均以上の選手が揃っている投手陣は県内屈指ではあるが、岩下や山下のような絶対的なエースはいない。ここにきて練習試合では安定した結果を残している小孫を軸に、本定、牧井、松田の四本柱で相手を最少得点に抑え打ち勝ちたい。投手に河合や秘密兵器石森の出番があるようでは厳しい、投げさせないとは思うが。野手陣では松田和と中野の1,2番コンビが好調。ただ、近年の二遊間に比べ物足りないものの、安定感は出てきている。例年、ひとりかふたり一年生で抜擢される枠に入るのが、白山シニア出身の中村康汰。攻守に非凡な才能を垣間見る。この中村と同じ白山シニアで二遊間を組んでいた藤原は守備(特に送球)にやや不安が残る。パンチ力は藤原の方が中村より上。もう一人の一年生内潟にも注目。遊学館には珍しい大型捕手。練習試合では正捕手高本を差し置いてキャッチャーを任せられるほどの実力者。いまひとつ調子が上がらない廣橋がもし外れると捕手内潟、サード高本も案外あり得る。あと走力の高い保科はベンチ入りは微妙か。また、昨年の全中出場した鶴来中から入部した身長が180センチを越える3人は秋以降に期待。
大会は7月4日に組合せ抽選会が行われ、12日に開幕する。がんばれ遊学館!