第98回 全国高校野球選手権石川大会は、いよいよ7月14日に開幕する。今年の石川代表校はどのチームに輝くのか、夏の有力校を紹介します。
Aシードには本命の遊学館と星稜が入る
第1シードは、春季大会を驚異の粘りで準決勝、決勝共に終盤2点差を跳ね返し、逆転サヨナラゲームを演じた星稜。北信越大会でも主力3人を欠く中、見事22年ぶりの優勝。そして、北信越大会優勝の年は夏も制すジンクスがあり、優勝候補筆頭になるだろう。
清水ー川岸のバッテリーをはじめ、守備の要のショート木倉、左の大砲・寺西と2年生に好選手が揃うチームだが、春は3年生が意地をみせた。キャプテン虎谷、リードオフマン森田、安定の守備をこなす畑中、代打出場がメインながら出塁率10割の越中、勝負強い打撃で魅せた久保田ら3年生の活躍が目立った大会だった。また、投手陣は2年生エースの清水以外にも豊富なのが強み。北信越大会で好リリーフした、サブマリン前井や、怪我から復帰した横越などの3年生の他、2年生左腕・小倉、1年生右腕・竹谷と駒が揃った。
第2シードは、準優勝の金沢商。上位から下位まで繋げる打線でシード校の鵬学園、金沢西を破り決勝へ進んだ。春季大会は、小林、福田の両右腕が主戦投手として活躍。2人ともスピードこそないが、コントロール抜群の打たせて取る投球で、防御率1点台と安定した投球が売り。ここに左の高田を加えた3投手の継投が鍵を握る。守備力も安定して、ロースコアの締まったゲーム展開に強い。石川県では、公立校として15年ぶりの夏の頂点を狙う。
第3シードは、昨夏覇者の遊学館。春季大会は優勝した星稜に準決勝で敗れたものの、チーム打率4割と今年も強力打線は健在で夏連覇を目指す。春季大会以降の練習試合でも打線は絶好調。上位から下位までに長打の期待がもてる長距離打線で、相手チームの守備位置に関係なく、様々な方向へ打球が飛んでいくのが今年の特徴。打の中心は、主将で4番の内潟。昨夏も甲子園を経験した県内屈指のスラッガーもラストイヤーを迎える。3番か5番を打つのが、一冬越して開花した保科。いま最も当っている選手は走力も抜群で、相手チームには怖い存在になりそう。内野手では、去年の甲子園を経験した中村康と藤原が中心に、小柄ながらパンチ力のある岩渕や平井の3年生で固める布陣。捕手は、1年生で春からマスクをかぶった牧野と井川の2人に、2年生・石橋も加わっての競争となり選手層は厚い。投手陣は、140キロ右腕・戸部が柱となる。左の琴浦との二枚看板だが、あと一枚欲しいところ。大型左腕の保科、倉田が出てくると投手陣に厚みが出てくる。遊学館は、昨秋は初戦敗退、今春は北信越大会出場を逃すなど、例年に比べると公式戦経験が少ないのが気がかりだが、実力は十分で、優勝候補の一角として二連覇を目指す。
創部10年目で初のベスト4進出した北陸学院が第4シード。準決勝ではエラー4が響いて敗退。投手陣では右の岡本が春季大会で好投して柱として計算できそう。岡本を中心として、野村、長谷川、木村とうまく繋ぐことが出来れば夏の連戦でも戦えるか。打撃では、野村が塁に出て、4番・田島、5番・吉村の白山シニアコンビで還す打線がハマれば勢いに乗る。
Bシードには金沢、県立工業、金沢西、小松明峰の4校
昨夏準優勝の金沢は、前評判こそ決して高くはなかったが、春季大会はベスト8と最低限の結果は残しており、個々の力は高いチーム。春季大会以降も強豪校との練習試合を重ね経験値は上がっている。しかし、今年に限っては正捕手が定まらなかった事や、投手の柱がいない点が懸念材料になっている。
春季大会で、強豪津幡を破り8強進出の県立工業は、左腕エース・石川の評価が急上昇した。なんといっても三振を奪える投球は魅力的。とは言え、夏をひとりで投げ切るのは厳しいだけに、村井、伊藤、坂西などの打線の援護と、2番手以降の投手陣の奮起が上位進出の鍵になる。
金沢西は、エース・砂山の投球が鍵を握る。春季大会準々決勝では、金沢商に打たれたものの、昨秋は星稜に完投勝利した右腕なだけに実力はある。柳橋、福嶋の投手陣も機能すれば、勝ち進む力は十分にあるチーム。打者では、リードオフマンの渡辺、4番の鴎端に注目したい。
小松明峰の喜多は遊学館を3失点に抑えた好投手のひとり。堅実な守備もありチームとしてはまとまっているが、あとは打線の援護が欲しいところ。
虎視眈々と夏制覇を狙うノーシード勢
今年のノーシードには、シード校を脅かす学校が多数存在する。その中でも、打線の破壊力に定評のある小松大谷と航空石川や、投手力に定評のある鵬学園が頭一つ抜けている。
小松大谷は、清水貫、清水大、林の強力な左打者に加え、喜多、瀬堂などの右の強打者を揃えて、今年も打のチームを作ってきた。春季大会では、星稜の清水から序盤の猛攻で4点を奪うが、惜しくも逆転負けでノーシードとなってしまった。投手力が少し弱い感じがするが、人材は豊富なだけに、齋藤、田上、宮浦、大宮などの踏ん張り次第では、優勝も狙えるチームで、ノーシード爆弾の筆頭。
航空石川は、4番・野村を中心とした強力打線のチーム。昨秋に金沢をコールドで破った打撃は、先日の招待試合・報徳学園戦でも終盤の集中打で逆転勝ちをするなど打撃は好調だ。投手陣は、打田、野村、佐渡の投手陣は直球に威力があり、完投能力も十分で上位候補に挙げられる。
春季大会で航空石川を破ったのが、左右にエース級が揃う鵬学園。見事に航空石川の強力打線を封じ込めた。右本格派の桜井、1年時からマウンド経験豊富な左の池下が中心のチーム。野手では、遊学館・牧野の兄が中軸を打っており、こちらも注目選手。スクイズなど小技を絡めた攻撃で、相手チームを揺さぶってくる浅井野球は今年も健在。投手力が良いチームだけに、疲れのないトーナメント序盤では対戦したくないチームでもある。
寺地、林の左の二枚看板で、昨年秋に遊学館を破った津幡。春季大会は林が怪我で登板できなかったが、夏の大会ではどうか。林の復活次第では上位進出も見えてくる。体は大きくないが、打撃センス抜群の喜多、左の強打者・竹腰を並べた中軸は県内でも屈指。
昨年秋優勝の野々市明倫は、堀と松浦のバッテリーが石川選抜にも選ばれて自信をつけた。守りを中心とした粘り強い野球で上位を目指す。
その他は、春季大会で桜丘をコールドで破った鶴来、昨年からのメンバーが多く、新監督で臨む尾山台や、夏にはチーム力を上げてくる泉丘、寺井も面白い存在だ。